Tesla Cortex 2.0が4月に第1フェーズ稼働、Optimus Gen 3訓練の本番が始まる

2026年4月、Texas州オースティンのGiga Texas敷地内で、Teslaが「Cortex 2.0」と呼ぶAI訓練クラスターの第1フェーズが稼働に入った。250MWという消費電力は、中規模の都市が必要とする電力量に匹敵する。この計算機の先には、Optimus Gen 3という人型ロボットの量産という目標がある。
数字だけ並べると実感が湧きにくいが、H100/H200系のGPUが約10万基集まった設備だ。ChatGPTをゼロから訓練した際にOpenAIが使ったとされる計算量を、単一の施設で連続的に稼動させるスケール感だと思えば、その規模感が少し伝わるかもしれない。
何が起きたか——Cortex 2.0の構造
Cortex 2.0は、2024年に稼働したCortex 1(Giga Texasの同じ敷地に建設)の後継にあたる。第1フェーズとなる250MWの設備は2026年4月に稼働を開始し、H100とH200を混在させた構成で運用される。フル容量となる500MWへの拡張は2026年中頃を目標にしている。
構成の詳細はTeslaが公式に開示していない部分もあるが、複数の報道を総合すると、GPUの総数は約10万基とされる。電力インフラはGiga Texasの電力供給網と統合されており、施設全体のエネルギー消費を一元管理する設計だという。
Cortex 1は主にFull Self-Driving(FSD)向けの神経ネットワーク訓練に使われてきた。Cortex 2.0はその延長線上にありながら、目的が明確にシフトしている——ヒューマノイドロボットの動作学習だ。
どう変わったか——Optimus訓練の「質」の転換
Optimus Gen 3の量産は2026年夏とされ、Cortex 2.0はそのタイムラインに間に合うように整備が進められた形だ。
前世代のOptimus Gen 2と比べ、Gen 3では2つの仕様変更が注目を集めている。駆動チップの「AI5」採用と、指関節の増加による22軸の手だ。22軸という数字は人間の手の自由度(約27軸)に近づいており、精密作業への対応を意識した設計変更といえる。
ここでCortex 2.0が果たす役割が変わってくる。軸数が増えるほど、ロボットの制御空間は指数的に広がる。2軸の手と22軸の手では、「同じ動作を学習させる」ために必要な訓練データの量も組み合わせの複雑さも、桁違いに異なる。Cortex 1のままでは訓練コストが現実的でなくなる可能性があり、Cortex 2.0への設備投資はその問題への直接的な解答だ。
AI5チップの採用も計算論理から見ると自然な流れだ。FSD向けに開発された推論チップをロボット搭載に転用することで、Tesla内部のAIスタックが車両とロボットで共有される。同じ訓練インフラ、同じ推論ハードウェアというアーキテクチャが、開発サイクルの短縮に効いてくる。
次に何が起きるか——500MW到達と量産の連動
2026年中頃に予定される500MWへの拡張が完了すれば、Cortex 2.0はCortex 1の2倍以上の訓練能力を持つ設備になる。量産ラインに乗るロボットが増えるほど、フィールドデータが訓練にフィードバックされる量も増える。現実の工場で動くロボットが収集したデータが、翌週の訓練バッチに入る——そういうループが回り始めるかどうかが、短期的な注目点だ。
Elon Muskは2025年に「2026年末までにOptimus Gen 3を数万台規模で生産する」という目標を示していた。Cortex 2.0の第1フェーズ稼働は、その目標に向けたロードマップ上の一里塚ではある。ただし、ロボットの訓練と量産には計算資源の確保だけでは足りない要素も残る。部品サプライチェーン、工場の組み立てライン整備、安全性評価——これらは計算機の整備とは別のタイムラインで動く。
もう一つ気になるのは、競合の動きだ。Figure AIやPhysical Intelligenceといった企業も同時期に訓練インフラへの投資を加速させている。Teslaの強みは、FSDの開発で蓄積した「現実世界のデータを大規模に訓練に使う」ノウハウだ。カメラベースの視覚認識をロボットに転用するアプローチは、他社が真似しにくい独自の資産になりうる。
Cortex 2.0が稼働した今、2026年夏の量産開始というスケジュールが現実的かどうかは、半年以内に答えが出る。
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